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ようやく森を抜けると、首から肩にかけてどっと疲れを感じた。
無意識に体に力を込めてしまっていたようだ。
「ねぇねぇ、リリィ! ここにルベットが沢山あるよ! 来た時は気付かなかったね。採って帰ろうよ」
リリシスの気疲れなど知らないロットは、真っ赤に熟したルベットの実に無邪気な歓声を上げている。
「ロット、採ってそのまま背負袋に入れちゃ駄目だよ。潰れてぐちゃぐちゃになった実の始末が大変だったって、この前も君のお母さんが嘆いてた。これで二回目だって」
「はーい。背負袋には入れないよ」
ロットは元気な返事を返して、上着のポケットに摘んだ実を次々と入れていく。ポケットはあっという間にぱんぱんになった。
ルベットの実は果皮が薄くて柔らかく、少しの力でも潰れてしまう。
汁で真っ赤に染まった上着を洗う、ロットの母親の姿が目に浮かんだ。
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