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 これまでぼんやりと、自分はこのままラビドの村で薬草摘みを続け、細々と生きていくものと思っていた。  そこに、新たな道が現れたのだ。 「もし王都に行ったら、僕は——」  リリシスは考える。  この年まで薬草摘みしかしてこなかった自分に、王都で出来ることといったら何なのだろう。  そもそも薬草摘みという仕事自体、パドラが動けなくなったからその後を引き継ぐ形で続けていたに過ぎない。  自分はこれから、何をしたいのだろう。どういう自分になりたいのか。  保護される存在だったリリシスも十八歳を迎え、己のことは己で決断し、その責任を自分で負う立場となった。  その節目としての選択が今、早くも目の前に現れたのだ。 「酷な提案であることは承知している。君にとって、村は慣れ親しんだ者達が多くいる場所だ。もし、君がここを離れ難いのであれば今はそのままだっていい。俺がまたここを訪ねる。そしていつか、君の心が変わる時が来たら——その時にまた返事をくれ」  リリシスの迷いを感じ取ったラグナールが、新たな選択肢を提示してくれる。  いつになるのか分からなくとも、彼は自分を待ってくれると言う。そこまでして求めてくれることに、胸が熱くなった。
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