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 しかしラグナールが誠実であればある程、何も考えずに王都に着いていくこと、いたずらに彼を待たせてしまうこと、そのどちらも躊躇われた。  自分の信念を持って仕事を全うしている彼と対等とまではいかずとも、せめて何か目標くらいは持った人間でいたいのだ。  そう考えた時、ふと浮かんで来たのは、以前にラグナールが言っていた「彼虚と人間が互いに害を及ぼさず共生出来る状態」という言葉だった。 「ラグナールさん……お聞きしたいのですが、対魔部は他の役人と同じく、十八歳以上に入職試験を受ける権利が与えられるのでしたね?」 「ああ、そうだが……」 「実動部隊とは別に、業務を行う部署もいくつかあると聞いたことがありますが、合っていますか?」 「合っている。……リリシス、急にどうしたんだ?」 「僕、王都に行って対魔部を目指そうと思うんです」  それは天啓を受けたかのような唐突さで、けれど思い付きにしては揺るぎない強さを持って湧き出た考えだった。  だがラグナールにとっては、まるで足元から鳥が立つような発言だったに違いない。  案の定、飲み込み切れていない顔をしている。
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