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「対魔部を……? 仕事なら王都には沢山ある。何故、敢えて対魔部なんだ? 所属していれば人喰いの討伐に関わることだってあるかもしれない」  「討伐には割り切れない苦悩があることは理解しています。そもそも、人間が彼らを裁くこと自体間違っているのかもしれません。  けれど……パドラが光に還る直前に見せた安らかな表情を思えば、自壊を起こさせる前にそれを阻止することに意味はあると思うんです」  リリシスは言い募る。 「ラグナールさんは、彼虚と人間が互いを害さず、共に生きることの出来る世の中を目指したいと言っていましたね? そこに少しでも近付けるようなお手伝いを僕もしたいんです。もう、パドラの周辺で起きたような悲劇が繰り返されることのないように」 「リリシス……」 「人喰いが生まれれば、そこには多くの悲しみが派生します。それを少しでも防ぎたい。そして彼虚の本来の姿を人々に知って欲しい。人間が過去に犯した過ちについても、それぞれに考えてもらえる日が来て欲しいんです。  けれど、この村に居てただ願っているだけでは何にもなりません。現状を変える為の努力をしたいんです。出来ることなら……貴方の側で」  今の自分に、これといって秀でた所があるとは思えない。  だがただ一つ、生気を吸われない体質がある。たとえ戦闘に立てなくとも、役に立つこともあるのではないだろうか。  勿論、体質以外の強みを持てるように努力はするし、与えられる仕事、出来る仕事全てに全力を尽くして取り組むつもりだ。
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