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「ねぇ、ロット。あなたに勇敢と無鉄砲の違いが分かるようになったら、お婆ちゃんはもう耳の痛い台詞を言わないと約束するわ」 「わかってる」  ロットが口を尖らせ、ミュケルがやれやれといった顔で溜息をつく。この締め括りまでがお決まりの流れなのだった。  ロットの祖母であるミュケルが営むのは、村で唯一の薬局だ。そして、山野で薬草を採取し生計を立てているリリシスの一番の卸先でもある。今日も頼まれていた品を納めに訪れたところだった。  ロットの膨れっ面に苦笑を零しつつ、小さな肩にぽんと手を置いた。もうその辺で止めておいたらどうかと目線で問い掛けてみる。ロットは肩をすくめたが、どうやらこれ以上言い返すことはしないようだ。 「ミュケルさん。今日もありがとうございました。帰りがてら、ロットを送っていきますね」 「あらあら。ありがとう。こちらこそ、いつも良い薬草を持って来てもらって有難いわ。またよろしくお願いしますね。ロット、リリィを困らせないでね」 「はーい。いってきます」  リリシスもミュケルに挨拶をし外へ出た。そしてロットに遊びに行く先を尋ねようと向き直った、その時。
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