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「もし、その人が本当に彼虚(かのうつろ)だったらどうするつもり?」  足の指に力を込めて地面を掴む。リリシスの抵抗に、ロットもようやく手を引く力を弱めた。 「捕まりさえしなきゃいいのさ。離れていれば、生気を吸われることもないからね」  ふふんと得意げな表情に、ミュケルが何千回という単位で同じお小言を繰り返したくなる気持ちが分かり、リリシスは唇の隙間から小さな溜息をひとつ逃した。  
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