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プロローグ
目が見えない程式琴巴は、言葉を何よりも大切にしていた。
だから、人並み以上に言葉には、敏感だ。彼女にとっての真の魔法は、『言葉』であるのだ。
「言葉は魔力」──彼女はよく口に出して、唱えた。彼女は自らに、言い聞かせたのだ。『そうであるよう』に暗示を何度も何度も。きつく線を結び。
新たな魔法を生んだ。分類樹にして『指定高度威凶魔法』とされる。
自己暗示。これは時によって、凶器のように強い力を帯びる。現に琴巴は、現代屈指の夜の魔法使いとして、その名を冠した。
これより。
私は『自己暗示』というのは、時に魔法と同じように、神秘領域へ干渉しうる力があるのではないかと推測する。
あくまでまだ、仮説段階だが。可能性は、十二分だと思われる。
よって、以後も程式琴巴の観測は有効であることを、ここに綴る。
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