抽象代数学(1)群

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抽象代数学(1)群

抽象代数学とは、今まで学んできた様々な数の括り・演算を今一度整理して考え直すことで、新しいことを発見しようとする学問です。 今述べた『括り』の事を小難しく代数的構造と呼びます。 今回は、代数的構造の最も基本に当たる概念:群について解説していきたいと思います。 まず、二つの数を在る方法で合わせて新しい値を導き出す演算:二項演算(+,-,×,÷)について考えます。 二項演算のうち加法(+)を例に出します。 まずは次の計算が正しいか考えてください。 (1+2)+3=1+(2+3) ただし、ここでの括弧は『こっちを先に計算してね』というサインです。 まぁ、当たり前に左辺も右辺も6となって、さっきの式は成り立ちます。 これは任意の数において(どのような数でも)成り立ちます。 例えば、ある集合(数をかき集めて袋に入れたような状態)の中にある三つの数a, b, cについて、 (a + b) + c = a + (b + c) が成り立つとしましょう。 この法則を結合法則といいます。 また、『二つの数aとeに二項演算を施してもaに戻る』ような数eを『単位元』といいます。 加法(+)なら0です。 乗法(×)なら1です。 最後に、『二つの数aとxに二項演算を施したら単位元eになる』ような数xをaの逆元といいます。 加法(+)ならaの逆元は(-a)。 乗法(×)ならaの逆元は1/a。 さて、ここでようやく群の定義についてお話しできます。 ある集合(数の入った袋)に入った数a,b,c,...の内からどの数を選んでも次の条件が成立すればその集合には『群』という名前が付けられます。ただし、+は×に変えてもいいです。 (1)a+(b+c)=(a+b)+c 【結合法則】 (2)a+e=aを満たすeが集合の中に存在する 【単位元の存在】 (3)a+x=eとなるxが集合の中に存在する 【逆元の存在】 では、ここで拡張概念についてお話をします。さっきの条件の内(1)を満たすものを『半群』、(1)と(2)を満たすものを『モノイド』といいます。 そして、次の条件をさっきの三つの条件に加えて満たせる集合は『アーベル群』と呼ばれます。 (4)a+b = b+a 【交換法則】 一応言っておきますが、以上の条件を満たせる二項演算は+か×だけなので、その点にも注意してください。 次回は環・可換環・体についてお話しします。今日はこの辺で。
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