<31・強気の交渉。>

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<31・強気の交渉。>

『貴方たちがあたくしを嫌っていることはわかっているわ。とても残念なことだけれどね』  ガブリエラはそれはそれは、素晴らしい笑顔でのたまったのだった。 『だって皆さんであたくしを除け者にして相談するくらいですものねあたくしのこと本当の本当にお嫌いなんですものね仕方ないですわ兄弟姉妹といえど相性というものはありますしあたくしだってすべての人間と仲良くできると思っていないというか、個人的には仲良くどころか目を見てお話することさえ嫌な人種もおりますものええよくわかっているのですわだから貴方がたがあたくしのことをそれこそ汚泥を飛ぶ蠅のように汚らしいものとして思っているのならとてもとても、それはとてもとても悲しいことですし不名誉ですし屈辱だとは思いますけれど人の心ってそう簡単に変えられるものでもないですものね仕方ないですわ諦めます。ああ、でも本当はあたくしだってこの国の未来についてもう少し兄弟姉妹水入らずで話し合いしたいという気持ちはありましたのよ?だって一番皇帝に相応しいのはあたくしなのにそれをご理解いただけないんですもの』 『は、はあ』 『この国に対してあたくしが望むもの、やりたいことは何一つ変わっていないのです、そして本当はあたくしの考えが必ず正しいはずなのにどうして理解していただけないのかと疑問に思う気持ちもあるというか、本当は全く納得していないのですけれど今回はそれも仕方ないことですわよねあたくし嫌われてしまっているんですものあら思い出したらまた涙が出てきてしまいましたわそれはそれとしてやっぱり穏便に解決したいですわよねやっぱりあたくし達は血の繋がった兄弟姉妹ですもの殺し合いなんかしないでお互い尊重して一番望んだ人を皇帝にしましょうとするのが最も平和的解決でございますしそれなら正々堂々勝負した方がいいかなあってあたくしも思いましたのよ納得していただけますでしょう?というわけで勝負いたしましょう正々堂々としたゲームで次期皇帝を決めるなんてなかなか平等でいいと思いませんことアイザック?さあアイザックの返答を待っておりますわあたくしは心から傷つけあいなどしたくありませんのよお兄様もきっと同じご意見でしょうし合同演習なんて華やかでとても良いではありませんか、ねえ?』 『そ、そうだな、うん……』  ウェズリーたちの会談では正々堂々としているように見えたアイザックが、もう誰が見ても明らかなほど狼狽していた。  いやまあ、こんなマシンガンで(文字みっちりで読みづらすぎるほどだ!)べらべらべらべらーとくちゃべられたら、だれだってドン引きするに決まっている。  結局なし崩しで、合同演習に賛成することになってしまった。  手筈はひとしきり、ガブリエラの方で整えるという。 『賛成してくださって本当に嬉しいですわ』  もうガブリエラはニッコニコだった。
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