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6-4 止まらない R
失敗した。
彼が上がってくるまでに終わらせるつもりだったのに。
今日の彼は珍しく機嫌が悪い。きっと板倉さんに思う所があるのだと思う。確かに話していて腹に一物を抱えている感じはした。
でもそういう人と接することは珍しくないし彼も慣れているはずだ。
いつもより少し荒っぽく私をベッドに下ろし、覆いかぶさってきた。
両手で顔を掴まれ唇を押し当て舌を差し込まれる。
乱暴にされているのに激しく求められていることに喜びを感じる。
ベッドでさえ紳士的な彼の荒々しい息、舌や唇の激しい動き、余裕のない表情。今まで見たことのない彼に心が高鳴る。もっと知りたい、本心が見たい。
唇が解放され息を整える間もなく、体をひっくり返され四つん這いの体勢になった。
えっこれって……
振り返る間もなく後ろから彼が奥まで入ってきた。
うそ。前触れも無く挿入されるなど今までの彼では考えられない。
驚いて体がこわばったが彼の激しい動きに徐々に解されあまりの快感に肘をつきシーツに顔を埋める。
「ああっ……やめてっ……こんなの耐えられない……っ」
「やめない。もっと俺を感じて。俺だけを見て」
彼は右手で繋がっている場所の上の突起を弄り始めた。
「やっそれまでされたらっ……あっ……」
はしたない言葉を口走ってしまったが、取り繕う余裕はない。私を抱き締める様に体を密着させ、左手は胸を包み、先端に刺激を与えられ、耳に彼の吐息がかかる。
何ヵ所も弱い所を同時に攻められ、私は彼を待たず達してしまった。
「ああんっ……ああっ……」
うつ伏せの状態で背筋がビクビク痙攣し、快感が全身を電流の様に通り抜け、腰が反る。私は快感に耐え切れずシーツに顔を突っ伏した。
それでも彼は止まらない。
「やだ、イってるのに……っ」
思わず振り返ったら唇が重なりそれ以上喋れなくされた。
打ち付ける腰にずっとイっているような快楽の時間が続く。耐えられない。頭が変になる。
「彩音……っ」
奥に押し付ける様に穿たれた後、彼のモノがどくどくと精を放ち、ナカに温かいものが広がった。何度か腰を打ち付けられた後、ようやく動きが止まる。
繋がったままベッドに項垂れ、彼は私を後ろから抱きしめる。背中で感じる彼の鼓動が落ち着いても、入っているものを抜く気配がない。
「足りない。もっと彩音と繋がりたい」
彼は私の体を再びひっくり返し、仰向けにして最奥まで一気に貫いた。
「まだするの」
「ごめん止まらない。彩音が欲しい」
余裕のないその声に、紅潮している顔に、額に光る汗に彼の本心が見えた気がした。彼が私の顔に手を添え懇願する。
「俺だけのものになって」
彼がくれた優しさ、言葉、思い出。
全部彼の気持ちだということにとっくに気付いてた。でも与えられるだけじゃなく彼からも求められたい。その確信が欲しかった。
ずっと心に閉じ込めて鍵をかけていた扉が開く。気持ちが溢れ出す。
もう自分の本音を隠すことは出来なかった。
彼の肩に手を回して抱きつく。
「嬉しい……好き。ずっと前から。兄妹なんか嫌。女として見てほしい。あなたのものになりたい。あなたが欲しい」
溢れる気持ちが言葉に変わる。こんな駄々っ子みたいなこと言ったら嫌われるかも。
「他の誰かじゃ嫌。あなたがいい。あなただけを愛してる」
「彩音……」
彼が私の目をじっと見つめる。
「俺もずっと好きだよ彩音。愛してる。ずっと俺のそばにいて欲しい」
彼の顔は紅潮して目は潤み汗も光っているが表情に優しさが戻っていた。
「うん」
私も笑顔を返す。
「やっと聞けた。君の本心」
彼は私の頭を抱え込み実感のこもった声で呟く。
「やだ、子供みたいだったから忘れて」
背中に手を回すと少し汗ばんでひんやりしていた。彼の体が冷えない様にぎゅっと抱き着く。
「そんな君も見たかったんだよ」
彼は再び私の顔を覗き込み両手で私の顔を包んで短いキスをした。
「彩音、好きだよ」
「うん、私も」
「やっと心置きなく言える」
彼は顔をくしゃっとして無邪気に笑い、額同士をくっつけてきた。自然と唇が重なりキスが深くなっていく。
ゆっくりと腰を動かし始める。
私も積極的に顔の角度を変え唇を押し当て、舌を動かす。彼も応えてくれた。
2回目の行為はじっくりお互いを感じ合った後激しく奥を穿たれ一緒に果てた。
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