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2-4 初めて R
風呂から上がり、ソファーに座って彼を待つ。
私の後風呂に入った彼は髪を拭きながらリビングに戻ってきた。タオルをダイニングテーブルの椅子の背もたれに置き、私の隣に腰を下ろし肩を抱く。
「彩音」
優しい声に鼓動が跳ね上がる。今日の彼は愛しいものへ呼びかける様に私を呼ぶ。
彼の顔を見上げると微笑んでおり、頬を撫でられ短いキスをされた。目を開けると至近距離で視線が合い、思わず俯きそうになったのを阻止され再び唇が重なった。
彼の柔らかい唇が入浴後の少し低めの体温で心地よく、私に用意されたシャンプーとは違うシトラスの香りに男性を感じた。
顔の向きを変え、唇を動かされるのにつられて口が少し開くとが舌が侵入してきた。初めて味わう舌の熱と感触に酔いしれ、じっとりと動く舌に応えなきゃと思いつつ、上手くできない。
ようやく唇が離れ、頭を抱えて撫でられ
「寝室に行こうか」
と囁かれた。
「はい」
私はキスの余韻のまま短く返事をすると額にキスを落とされ、お姫様抱っこで寝室に連れて行かれた。
私をベッドにそっと下ろしベッドに腰掛け
「おいで」
と言って私を抱き寄せ、優しく撫でてくれた。ドキドキしながら彼の体温を感じていると顔を覗きこまれ、熱の篭った瞳が視界に入った。
唇を塞がれ、舌を差し込まれた。彼は深いキスを続けながら私の体をゆっくり押し倒し覆いかぶさった。
手は顔の横で指を絡ませぎゅっと握られる。
彼の手に触れたい、何度そう願っただろう。叶うどころかこうやってキスをしているなんて。
強く彼の手を握り返し、幸せをかみしめる。
今からどんな未知の体験が待っていようとも、それが耐えがたい痛みを伴うものでも、この人と経験できる喜びが心を震わせた。
「脱がすね」
バスローブの腰紐を解き、胸が露わになる。
「綺麗だよ、彩音」
初めて体を見られて恥ずかしいが彼の表情は変わらず余裕だ。
左手で私の右手を握ったまま空いている手で優しく右胸を掴み、まだ触られていない方の胸に顔を埋めた。
敏感な頂が彼の唇で、舌で快楽を得る。ざらざらとした舌の感触も、彼の柔らかい唇も気持ちいい。手で触られている方は指で挟んだり擦られて違った刺激と快感がある。
恥ずかしい、でもずっとこうしたかった。
妹ではなく女である自分を見て欲しかった。
「こっちも触るよ」
バスローブとその下に着ていた下着を脱がされる。
蜜がすっかり溢れている場所に指を這わせ、探る様な視線を向けてくる。
「あっ……いやっ……あっ……」
彼の手が私の敏感な突起にたどり着きゆっくりと擦りはじめる。味わったことのない強烈な刺激に思わず声が漏れた。
足も腰も捩れる様に勝手に動く。声が出るのが恥ずかしくて手の甲で口元を覆うも、視線は彼の顔から目が離せなかった。
どんな顔でどんな眼差しで私を見るのかをどうしても見ておきたかった。
「声我慢しなくていいよ。聞かせて」
彼は顔を覆っていた私の手を取り自分の顔の辺りに持っていった。私の手にキスをしたり舐めたり指を咥え、その仕草も上品な色気があり私を魅了する。
往生際悪く声を我慢していると
「そんなに声出したくないなら塞いであげる」
彼は突起への刺激を続けながら唇を重ね、舌を入れてくる。キスに応えながらも押し寄せる快楽に吐息がもれ、足や腰が勝手に動く。
「いやっ……ダメっ……これ以上はおかしくなりそう」
顔を背けて彼に懇願する。
「いいよ、俺に身を任せて」
と言って指の動きを速める。
快楽が全身を包み込みどんどん上り詰めていく。
「ああっ……あっ……はあっ……」
電撃が走る様な快感が体を駆け巡り絶頂を迎えた。脳が痺れ体が脱力し息が上がる。彼は愛しそうに私を撫でる。
「イクの初めて?どうだった?」
「こんなに気持ちいいって思って無かった……電流が走って、自分が保てなくなりそうな」
衝撃と余韻で上手く言葉にできない。
「そう。嬉しいな」
彼は楽しそうに笑い頬にキスをくれた。
「じゃ、挿れる準備するから」
呼吸が落ち着いたのを待って、彼はまた右手を私の秘部に這わせ、入口に中指を当てがう。
「痛かったら言ってね」
今まで何も入ったことのない場所に彼の長い指が入ってきた。
「んっ……」
「痛い?ごめんね」
「大丈夫。もっとして」
彼はまた唇を重ね、舌を絡め合う。
ナカの異物感を激しいキスで紛らわせてくれているのだろうか。
中指は探る様な動きから次第にスピードを増していき、徐々に快楽が忍び寄ってきた。
彼の背中に手を回し、腰を反らせながら彼の唇に貪りつく。
異物感はある、きっと激痛が走るだろう。でもこの人が欲しい。奥まで彼で満たして一つになりたい。
「ねぇ、挿れて」
彼は驚いた顔で私を見る。
「まだ痛いよ。もっと慣らしたほうが」
「いいの。今すぐ欲しい」
「わかった」
指を抜き、私の両膝に手を添える。
「痛いと思うけど、優しくするね」
入口に彼のモノを当てがい、ゆっくり腰を進めてきた。指とは比べものにならない圧迫感があり、通った場所の壁がジンジン痛んでいる。
無垢なその道を少しずつ押し広げながら侵入してくる。確かに痛い。でもずっと求めていた。
今この瞬間を、一生胸に焼き付ける。
「っ……入ったよ」
額に汗が光り目が充血していた。それでも優しい顔で頬を撫で笑顔を向けてくれる。
「彩音のナカ気持ちいい……すごく締め付けてくる」
「兄様すごく奥まできてる」
「この状況で兄様は変でしょ。光留って呼んで」
「呼び捨て?」
「呼び捨て」
少し笑い合って再び唇を重ね、彼がゆっくり動き出した。浅いところは焼ける様な熱を伴う痛みがあるが、奥を突かれると確かな快感がある。
もっと、もっと来て欲しい。もっと深く繋がりたい。
彼の動きがどんどん速く、リズミカルになっていく。奥の快楽は甘美だが、浅いところはそろそろ痛みが限界だ。
「……っそろそろ出すよ……んっ」
先程より大きく動き最新部まで押しつけてくる。私は痛みに涙がにじみ、シーツを掴み歯を食いしばっていた。
「彩音……好きだよ」
思わず瞑っていた目を開き視線が絡むと同時に唇を押しつけられる。
「あっ……あっ……あっ……」
唇が離れると声が我慢できない。
彼の背中に手を回し、激しい動きの反動で離れる唇を必至に押し付け舌を絡ませた。
「ああっ……」
彼が唸るような声を出すと最深部に放たれた精の温もりを感じ、喜びに心震えた。
彼はぐったりと私に体を重ねてきて、上がっている息や鼓動や背中の汗が愛おしくてたまらない。
体中が弛緩し、力の入らない腕で彼の背中を抱きしめる。
「彩音、好きだよ、愛してる」
愛おしそうに私の顔を撫で、瞼にキスをした。
この言葉はどういう意味だろう。さっきも好きと言われたが私の初めてを良い思い出にしてくれるための嘘かもしれない。
でも今は真意を知るより好きな人と繋がれた喜びに浸りたい。
「私も好き」
あなたの優しい嘘だとしても。
伝えるつもりは無かった本音を告げ、彼の胸に顔を埋めた。これまでの人生で最高の幸せを噛み締めた数秒後、彼の胸の中で眠りの世界に旅立った。
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