真白のドラゴンと酔っ払い

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黒い肌に禍々しい緑色の炎、幼い頃に観たおとぎ話の悪い魔女と同じ色、と思った事まで覚えている。 「禁薬にでも手だしてんの?」 「違う!そんなの無くても俺はドラゴンなんだ!」 「まじで意味わかんない」 まじで、とケンドラは繰り返したが「ティーワイ!!」と叫ぶ声が後ろから聞こえる。 「ティーワイってあんた?」 青年はし、と自身の口元に人差し指を当てる。 「本当に、助けて欲しいんだ。助けてほしくて、ここまで来たんだ」 ティーワイであろう彼はケンドラの手を引いて再び走り始めたが、目の前に道はもうない。 彼ら以外の足跡が近づいてくる音が次第に大きくなっているものの、酔っているケンドラは走ったせいで心臓の音がうるさいのかもしれないと判別がつかなかった。 「叫び声はあげないで」 「え?なんで、あんた、ちょっと、まって」
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