バカなの?カッコいいの?どっちなの?

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ここの売りでもあるウォータースライダーは、結構な高さまで登り長い距離を滑ることができる。 トンネルや曲がりくねったスライダーのその先、沢山の人が見守るなか水中に飛び込んでいく利用客たち。 その度に歓声が下から沸き上がっている。 「高いなぁ。気持ちいい。」 「知ってる?内藤くん。馬鹿と煙は高いところが好きなんだって。」 「あ?失礼だなお前。」 順番待ちで並ぶ利用客。 階段の途中で止まってしまった行列の中、背後からかかった声に振り向いた。 「だいたい、人を馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだからな。この悠さんバーカ」 「悠さんバカ上等、むしろ褒め言葉だし。」 「うわ、開き直る美形変態。怖いわー」 「それ褒めてるの?貶してるの?」 「馬鹿にしてんの。」 「馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだよね?」 「うぐ…」 「二人共煩い。だいたい小学生でももっとマシな会話するからな。恥ずかしいから止めてくれ。」 「「ごめんなさい」」 蒼牙の切り返しに言葉を詰まらせていると、呆れたような悠さんのツッコミ。 思わず謝れば蒼牙と声が被り笑ってしまった。 それにしても… 「フフン」 一段高いところに立っているから、今は俺の方が蒼牙より目線が高い。 なんか新鮮ってか、ちょっと優越感だな。 これ。 ニヤニヤしながら自分の背丈と蒼牙の背丈を手で測る仕草をすると、子供のようにムッとした表情を見せる蒼牙がおかしい。 「ほんと仲良いな、お前ら。」 「そんなことありません!」 「そりゃもう!」 俺達のやり取りを見ていた悠さんがクスクスと笑いながら言うのに、俺と蒼牙の声がまた被る。 でも気の所為じゃなければ否定されたような…? え、仲良いと思ってるのもしかして俺だけ? 「えーっと、蒼牙さん?」 「内藤くん前進んで下さいねー。」 「あ、はい」 わざとらしくニッコリと笑って前を指差され、思わず返事とともに階段を一段登った。 「素直すぎ、内藤くん。」 ケラケラと楽しそうな二人の様子に「それが俺の良いところ!」と返せば、さらに大笑いされたけれど。 二人が楽しそうだから、まぁいっか! とかなんとか思ってた十数分後。 「てめ、ふざけんなよ。」 「いや、えっと…」 さっきまでの楽しかった時間は何処へやら。 強面のお兄さん達に囲まれて、俺ピンチです…
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