(一)

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 拓弥は無言でそれに応えながら、床の上に落ちているバスタオルを掴み上げて濡れた体を拭いた。拓弥は鍛えているわけではないが、無駄のない痩身体型だった。 「今日はバイト? それとも学校?」 「どっちだっていいだろ」  拓弥はテレビ台の隣のプラスチック製のチェストの上から二段目からグレーのボクサーブリーフを取り出して足を通しながら返事した。 「私は夜勤に備えてまたしばらく寝るわね」  実奈美はそう言ってベッドから半分ずり落ちた掛け布団を掴み上げて自分の体の上に掛けた。  拓弥は実奈美にジッと見つめられながらシャツを着て靴下を履き、ズボンに両足を通すと、無言で部屋を出た。 (続く)
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