(一)

4/6
499人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
 そのドアを開けて拓弥はその中に入った。  部屋に入るとすぐ目の前に黒い革のソファーが、ローテーブルを挟んで(つい)に置かれており、そこに派手な花柄のワンピースの洋服を着た高齢の女性と、若くて目鼻立ちの整った男の子がいた。 「これでようやく揃ったわね。随分待ったわよ」  高齢のケバい女性が拓弥にそう言った。  そう続けると、社長は拓弥に若い男性の隣に座るよう促してきた。  拓弥はそれに従い、若い子の隣に腰掛けた。若い子は、緊張しているのか、少し顔がこわばっているようだった。 (続く)
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!