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「そう言えばヒロシ、目を通してくれました?ハルとシイに預けておいたはずなんですけど…」
不意に流暢な日本語で話し出したオリヴィアに、ハルとシイ以外が目を丸くしている
そりゃそうだ、何処からどう見てもメインクーンなのに日本語を操るのだから
いえ何も…手紙は昨日の晩に届いたので、ね?それに誰かのせいで幽霊騒ぎがありましたから
そこを指摘するとオリヴィアは口をつぐみ、どうやら矛先をハルとシイに変えたようだ
「ハル。シイ。ちょっと…。あれヒロシ宛ての見合い写真だから、すぐに渡すように書いておいたはずよね?どうして出来てないのかしら?」
微妙に声のトーンとともに室温も下がったような、気がした
「あ、あれは今日ししょーに渡そうと思ってたっすよ…す、すぐに取ってくるっす!」
緊迫した空気から逃げ出すように、ハルが部屋から飛んで出ていく
「あー、しっかし、ここってオキナワ?ヘルシンキと違って暖かいし過ごしやすいわねぇ、暫くお邪魔しようかしら」
ちょっとオリヴィア?見合い写真ってどういうことかな?…倫敦のアンジェリカも絡んでますね、その話し?
「仕方ないでしょ、これ持って行かない限り、ウチの予算は現状維持だって言われたんだから」
僕の膝の上で欠伸をしながらオリヴィア
「そろそろ手を切りたいんだけど…今度はスウェーデンの王室が、ね…」
「ええっと、オリヴィアさん?ちょっとよろしいかしら?」
控え目に挙手したのは、〆切近いはずの秋ちゃん
「このバカネコには冴香ちゃんとあたしと優花ちゃんと美優ちゃんって本妻がいるんだから、その写真持って、とっととヘルシンキに帰ってもらえませんかね?」
秋ちゃんの意見に名前の出た三人は激しく首肯している
「これを足抜けさせる条件に、良家の子女とのお見合いまたは交際または結婚ってのがあって、私も断わり切れなくって…ねぇ」
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