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「ママ!お待たせしました!こちらがお預かりした資料になるっす!」
4人の殺意が膨れ始めたトコロ、ハルが見合い写真の束を持ってやって来た
「こちら南ウェールズの伯爵令嬢のミカエラ嬢、で、こっちが倫敦の大店のご令嬢のシルフィーヌ嬢、で、こっちが今回の本命のスウェーデン王室を支える公爵令嬢の…」
いや、確かに上玉揃いのお嬢さんばかりですが…言葉は悪いですが…会ったこともないような老害の後妻に入るなんて、ちゃんと説明して納得されてるんですか?
冴香さん達の罵声や抗議が聞こえないのは、どうもオリヴィアが結界を張ったからだろう
「当たり前でしょ!してなかったら、ヒロシの後妻なんて立派な人身売買か人身御供じゃないの!…日本語だと罰ゲームって言うんだっけ?」
と、見合い写真の間から羊皮紙が1枚、ハラリとこぼれた
よく見ると座標固定の魔法陣が描かれている
成る程、これでオリヴィアが直接飛んで来れたワケだ
と、兎に角、僕はお見合いする気は欠片もありませんから!大体日本語の通じない相手だなんて
「あ、三人とも日本語ペラペラ、私とアンジェリカが付きっきりで教えてるから」
しれっとした顔でオリヴィア
僕は頭を抱えた
さすがにこちらの攻撃パターンをよく知っている相手だ…まあ、元部下だから
「…まあ今回は見逃してあげても良くってよ?だって結界の外見てよぉ、まるで私が悪役みたいに女の子皆泣いてるじゃないのぉ」
今度は悪魔の取引を持ち掛けてくる…
この子、ネコじゃなくて悪魔なんじゃないかと昔からよく思うんですが
みたい、じゃなくて、明らかにオリヴィアが泣かせてるんだと思いますよ…
で、条件があるんでしょ?
「何、簡単なことよ?」
オリヴィアが意気揚々と語り始めた交換条件に…
僕は結界を解くように依頼、4人に説明する事に
ハルとシイは今回利用されただけ?というかオリヴィア側なので意見は全スルーだ
「うち、飲食店なんですけど…オリヴィアさんの毛が落ちてると…」
冴香さんが控え目に拒否してくる
「大丈夫、私の周りを結界で覆って塵ひとつ落とさないように出来るから!」
と、美優ちゃんがおずおずと手を伸ばして、オリヴィアの背中を撫でてやりだした
そのソフトなタッチにオリヴィアも気持ち良さそうに喉を鳴らしている
「別に、良いんじゃないですか?」
末妹の美優ちゃんのその一言が決め手になった
双方の契約が成立したのは
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