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アゲハ
『愛しているわ、アゲハ。ごめんなさい。あなたの成長を見守りたかった』
<お母様のダイイングメッセージです>
<アゲハ様、ヘリオ様の窓にもメッセージが>
ヘリオのポットのそばにいたイセが私を手招きしていた。
『アゲハ。可愛い僕のお姫様、どうか幸せに。幸せに生きてくれ』
<おそらく、お二人ともご自身の血で書かれたのでしょう>
<最後までお二人はアゲハ様のことを思っておられました>
アンドロイドたちの無責任な慰めが聞こえる。
私は泣けばいいのか笑えばいいのかわからなかった。十八年の歳月を超えて私に届いたメッセージ。それで今更親の愛情を発見したからって、いったい私はどうすればいいの?
どこからともなくあげは蝶が飛んできて、私の目の前を横切り、ふわりと空に消えていった。
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