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私の呼び声がきっかけとなったように強い風が吹く。蝶が一斉に飛び立った。
飛び立った蝶は一頭や二頭じゃなかった。
ざあっと音でも立つように、何十万の蝶が飛ぶ。黒地に紫と黄色の模様の羽が羽ばたく。美しい模様が絶え間ないフラッシュのように羽ばたく。
青空と花の間を蝶が舞っている。
私は涙を流しながら、その光景に見惚れていた。
ヘリオ。あなたも見たの? この景色を。私はあなたが見せてくれた夢で、ここにいるの。見えてる? ヘリオ。
私はただ、蝶の乱舞を前に立ち尽くしていた。
どれだけ、蝶の舞を眺めていただろう。アンドロイドの声がした。
<アゲハ様、こちらに来てください>
なぜ邪魔するの!? 私今泣いてるし! 泣き顔なんてアンドロイドにも見られたくない!
<アゲハ様>
「ちょ、ちょっと!!」
ロトアクが現れ、私の手を取って駆け出す。
蝶の乱舞の下、私は花畑を走らされた。
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