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仕事終わりの彼女
「あぁ、今日の合コン断れば良かった」
冴子は残念がっていた。
「合コンがなければ、佐伯くんと一緒に食事できたのに。まさか佐伯くんから誘ってくれるとは思わなかったな」
冴子の悔しさは止まらないが、嬉しくもあった。
「あの時はびっくりしたけど、佐伯くんの気持ちが分かっただけでも良しとしなきゃ。佐伯くん本当に可愛いんだから」
冴子の笑顔が止まらない。
そう思いながらも、彼女は合コンのためにしっかりメイクをしていた。
「準備オッケー」
そう呟き、冴子はお手洗いから出る。
その時、バッグから音がした。
スマートフォンの着信音だ。
冴子はバッグからスマートフォンを取り出す。
「もしもし」
「あっマリアさん、占いの館です。さっきマリアさんに指名が入ったのですが、急遽出れそうですか?」
「だめだめ、今日は大切な予定があるから出れないわ、断っといて」
「分かりました。ありがとうございます」
冴子はスマートフォンをバッグに閉まって、ハァーとため息をつく。
「佐伯くんにはちょっといじわるしすぎたかな、けどそれで佐伯くんと話しできたからオッケー」
会社を出た冴子は、大きく深呼吸をする。
空には、占いの館でめくったカードと同じような月がきれいに見えている。
「占いの結果に嘘をついたのは正解だったかな、佐伯くん明日はどう誘ってくれるかな、楽しみ楽しみ」
そう言いながら、冴子は合コン会場へと向かった。
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