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私の母はとてもお節介です。
お節介というと悪い意味にとられがちですが、母のお節介はむしろ皆からは好評です。
そのわけは。
ピンポーン。
私はインターホンを見る。
ああ、またセールスだな。
でも大丈夫。何故なら今日は母が実家から遊びにきているから。
「お母さん、お願い」
「はいはい」
母が代わりに出てくれた。私はいつものようにそっと後ろから覗くことにした。
「はーい」
呼び鈴に返事しながらガチャリとドアを開ける母。
いかにも営業マンっぽいスーツ姿の一見爽やかな感じの男が現れた。
「まあ、いかがなさったの?」
「私、こういう者です。子供の教育ゲームというのを販売しておりまして……。少し玄関よろしいですか? 外が暑かったもので」
スーツ男は汗を拭きながら母に名刺を渡す。表向きは笑顔だが、「人のよさそうなおばさんだ、騙しやすそう」と顔に書いてある。
「まあまあ、いいですよ。お茶を持ってきますわ。どうぞお入りになって」
母はそう言うとスーツ男を中に入れた。
「ありがとうございます」
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