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叔父のノート
ーーーそのノートに出会ったのは、去年の夏のことだった。
「何だこれ?」
押し入れを開けた時、大きな段ボールの中に入っていたノートの数々に俺は声を出す。使い古した大学ノートがいくつも入っており、どれも埃を被っていた。埃を払ってみると、「怪奇記録」と表紙に書かれている。
「怪奇記録?」
俺がノートに書かれた言葉に首を傾げていると、ハンカチで目元を拭きながらばあちゃんが俺の隣に座り、教えてくれた。
「これはね、あの子が一生懸命書いた記録やけん。怪談話を日本全国回って集めとったんよ」
あの子ーーーとばあちゃんが言った人物は俺の叔父さんのことだ。父さんの二歳年下である叔父さんは、誰もが知る有名大学に進学し、誰もが知る有名企業に就職したものの、三十を前にして突然会社を辞め、日本各地を回るようになったらしい。
「……全く、いきなり会社辞めて実家に戻ったと思ったら日本各地をブラブラ。結婚も就職もせずに、迷惑ばかりかけて、一家の恥晒しもいいところだ!」
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