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真うしろに男の子が座っているから、ちょっとだけ背中を意識しちゃうけど。
「発車します」
運転手さんのアナウンスで、バスが走り出す。
バスのなかは、私と男の子以外に乗客はいない。
中学校まで片道一時間だけど、こんな感じで三十分くらいはこのまま貸し切り状態。
毎日バスに乗って通学するなんて大変だなって思ったけど、転校してきて二週間経った今では、すっかり慣れちゃった。
心地いいバスの揺れを感じながら、窓の外をのぞく。
自然ゆたかな山道だけど、バスから見える景色は、あんまりキレイとは言えない。
まだ九月だから色のない葉っぱばかり。
じっとしているのも退屈。
私はカバンから数学のノートと、鉛筆を取り出した。
すこしでも勉強しよう! ……って思ったのに。
はっ! しまった!
空白のページを見ると、つい無意識に絵を描こうとしちゃってる。
もう、私のバカ! 絵はやめるって決めたはずでしょ!
ため息をつきながら、パラパラとノートをめくる。
すると、ページにはさまっていたチラシに目がとまった。
『第四十三回 全国中学生美術コンクール』。
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