私は自分を殺した

1/1
前へ
/1ページ
次へ

私は自分を殺した

 何時しか手放してた。 初めはどうだった? 何か膨らんだ想像を汚れた手で拾い上げては、表に出し続けてた。 何で、し始めた? もう今は、よく分からなくなってた。  楽しかった。 起きて、歯を磨いて、服着て外出て。 太陽を浴びながら仕事に向かった。 その間の束の間に、イヤホンから流れる音楽で妄想を膨らませて、記し続けた。  でも、分からなくなった。 なんでしてたんだっけ。 なんて考えてたって答えは1つしかないのに。 悩んで生きて、出来た道は、1度歩けばそれで終わりだった。 私は何かを壊してた。  テスト用紙の裏、絵なんか書けないから文字を書いてた。 下手くそな物語、現実見がちな夢現。 時間制限いっぱいかかって、書ききったことは1度もなかった。 そこから多分始めてた。  辛くなった。 書けなくなった。 人に見せ始めて、流行りを探した。 調べて、聞いて、理解して、外に出して、 上手くいった時に初めて気がついた。 なにしてるんだろうって。  だから、分かってた。 何となく知っていた。 嫌なところにある閲覧数をずっと気にして、画像へ変換した時の屈辱も。 なんで書いたんだろう。 私は、好きを壊した。  分からなかったんだ。 なんでこんなに、周りの全てに悲観的になったのは。 分かってたんだ。 なんでそんなに、自分の思いをかけなくなったのか。  目に見えてたんだ。 子供の頃に楽しかったのは、書いた物語の分だけ鉛筆が削れたこと。 少し、大人になってわかったんだ。 この世の中で、楽しいと感じれるものは、 誰にも邪魔されない、誰も気にしないなにかなのを。  分かってたんだ。分からないふりをした。 知ってたんだ。目に見えてたんだ。 過去の好きだったものを、 昔の私のしてた時の笑顔を、 私は壊したんだ。  周りを気にして、 この初めから汚れた手で、 私は自分を 殺した。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加