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「でもさあなんて伝えたらいいのかよくわかんなくて」 「好きです、でいいじゃん」 「しっくりこないんだよね、それ。好きなとこはあるけど、なんか違う感じっていうか。そもそも恋って何? とか色々考えてるうちによくわかんなくなってきてさ、いっそもうこっちが決めちゃおうかなって」 「はぁ」 「だからコレ作ったんだ」  私は机に二つ折りの紙を開いて見せた。  真っ白な紙面にはマス目が描かれており、そのマスのいくつかには赤丸のスタンプが押されている。 「榊原くんの好きなところを見つけたらこのマスに一個スタンプを押すの。全部で百マスあるから、これが全部埋まったら私はちゃんと恋してると思うんだよね」  恋の定義は曖昧だ。どこからが恋で、どこまでが恋なのか。誰にもわからない。  それなら私の恋は私が決めよう。  この紙は私の心。このスタンプは彼への気持ち。  この白いマスが赤く染まれば、恋心の完成だ。 「へぇ」 「ちょっと、ちゃんと聞いてる?」 「聞いてるよ。推したら押すんでしょ」 「聞いてたのね」  夏奈は私が広げているスタンプシートと私の顔を交互に見る。  それからうんうんと何度か頷き、にっこりと笑った。 「都子ってほんとかわいいよね」 「いやかわいいのは榊原くんなんだって」
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