君と雨と私

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雨が降る。 私達を濡らしていく。 まるで私達の関係を洗い流すように。 「寂しい、、」 帰りのバスを待つ彼の手を掴む。 私達は、俗に言うセフレという奴だ。 だが昨日の昼に突如彼からもう会えないと連絡が来た。 どうにか最後に一度だけ会う約束をした。 だから今日が最後だ。 この先、二度と会う事はない。 分かってる、納得もしている、なのに彼を引き止めようとしているこの体が忌々しい。 「、、、」 彼は何も言わない そっと外された手が空中で彷徨う。 沈黙が二人を包み込む。 ぽつり、、、ぽつり 雨が降り始める。 このバス停には屋根がない、だから徐々に体が雨に濡れていく。 傘忘れた、、、なんて考えているとバスが来た。 「じゃあね」 彼はそう言うと私の手に折り畳みの傘を持たせてバスに乗り込む。 そんな彼だから好きなのだ。
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