2人が本棚に入れています
本棚に追加
――迷子になって、泣いてる女の子を発見した。
幼稚園に通っていた頃の私だったら、この子の隣で、一緒に泣いていたのだろう。
小学生の私だったら、女の子の手を引いて、交番へ連れて行ってあげたのだろう。
中学生になった私だったら、女の子の家まで連れて行ってあげて、高校生の私だったら、家まで連れて行ってから「親としての自覚はないのか」と、女の子の両親を説教していた。
大学生の私だったら、女の子が喜びそうなお店に連れて行き、社会人になった私だったら、人目の触れないどこかに閉じ込める。
結婚していた私だったら、妻や家族を説得し、我が子として育てることにして、離婚した当時の私だったら、女の子を押し倒し、自分の妻にしていたのかもしれない。
「うえーん」
老いた私は返り討ちにあって、護身用のスプレーで両目を潰された。
――あぁ、私はどこかで間違えた。
人生の迷子になった私は、警察が発見してくれるのを待つしかなかった。
【了】
最初のコメントを投稿しよう!