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「ただいま」
いつものように後ろ手にドアを閉めて、そのまま自分の部屋に上がる。
すぐさまヘッドフォンを耳に合わせて、ソフトを起動する間も惜しいまま、先走る音符を手近の紙切れに書きなぐっていく。
主張だらけじゃないけど、でも伝えたい何かは変わらず中心にあるような。
それが大音量で、心を直接揺らしてくるような。
けっして人に見せることのない芯に、地球に生きる誰よりも赤い熱を宿したその笑顔。
「…………っ」
いける、と思った。
迷うことなく、今まで一番の音楽になる――そう思った。
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