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つぶやき日記 2023年10月
短い話
2023/10/09(月祝)
夜が更けた。
街灯も消え失せた暗闇の中を、一両電車は我が物顔で通り過ぎていく。
一筋の明かりをもって辺りに広がる闇を切り裂く姿に、疲れた顔の人々が虫のように群がり、重い足を上げて乗り込んでいく。
ある人は息が詰まる我が家へと。
ある人は待つ人も居ない自室へと。
ある人は、ある人は。
皆それぞれ、人工の光の中へと乗り込んでいく。
乗って、降りて。
乗って、降りて。
最後に着くのは、がらんどうの駅。
電車は我が物顔で、今夜も疲れた人々を乗せて暗闇を駆け抜けていった。
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