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おかしいな。
痛いはずなのに全然痛くない。
これはもう一体なんなのか。
噛まれている痛みよりも、満月の光の眩しさが大きい。目もよく開けられなくなった。
聞こえるのは狼の遠吠え。
そして──。
「うわぁ。この狼、可愛いね。羨ましいなぁ、こんな可愛い坊やにキスされてるんだよ」
「──だったら──噛まれてみるか?」
苦しい。
もう一度言うけど、噛まれている脚はまったく痛くない。ちなみに右だ。
うん、やっぱり痛くない。
俺を苦しめるのは月。
ムーン。
ムーン。
ムーン。
狂気。
そう、それだ。
俺の頭に狂気が浮かんでくる。
「どうしたの? 紅狼くん、遠吠えしてる」
「うぉぅー」
「変なの」
おい、これはやばいって。
狼人間になる前兆ってやつか、これは。
なんて思ってたら、次に襲ってくる耳の違和感。
エレキギターを耳元で流されたのかってくらいの爆音。
耳を押さえても意味がない。この音は耳の奥で鳴り響いている。
満月の夜、俺は狼のように叫んでいた。
~作者のコメント~
こんにちは! 「えすこめ」こと、エース皇命です!
まずは読んでくださり、ありがとうございます。
おっと、これは狼人間になるのか、ならないのか。
ですが、僕の作品はみなさんの予想を裏切り、それを超えていくというスタンスなので、思い通りにはいきませんよ。
ヒロインもなかなかの曲者ですな。
続きが気になったら、ぜひ本棚登録、えすこめのフォロー、よろしくお願いします。
これからもどんどん面白い小説を書いていきます。
以上!
エース皇命でした!
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