第1話 オリジン

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 おかしいな。  痛いはずなのに全然痛くない。  これはもう一体なんなのか。  噛まれている痛みよりも、満月の光の眩しさが大きい。目もよく開けられなくなった。  聞こえるのは(オオカミ)の遠吠え。  そして──。 「うわぁ。この(オオカミ)、可愛いね。羨ましいなぁ、こんな可愛い坊やにキスされてるんだよ」 「──だったら──噛まれてみるか?」  苦しい。  もう一度言うけど、噛まれている脚はまったく痛くない。ちなみに右だ。  うん、やっぱり痛くない。  俺を苦しめるのは月。    ムーン。  ムーン。  ムーン。  狂気。  そう、それだ。  俺の頭に狂気が浮かんでくる。 「どうしたの? 紅狼(くろう)くん、遠吠えしてる」 「うぉぅー」 「変なの」  おい、これはやばいって。  狼人間になる前兆ってやつか、これは。  なんて思ってたら、次に襲ってくる耳の違和感。    エレキギターを耳元で流されたのかってくらいの爆音。  耳を押さえても意味がない。この音は耳の奥で鳴り響いている。  満月の夜、俺は(オオカミ)のように叫んでいた。  ~作者のコメント~  こんにちは! 「えすこめ」こと、エース皇命(こうめい)です!  まずは読んでくださり、ありがとうございます。  おっと、これは狼人間になるのか、ならないのか。  ですが、僕の作品はみなさんの予想を裏切り、それを超えていくというスタンスなので、思い通りにはいきませんよ。    ヒロインもなかなかの曲者ですな。  続きが気になったら、ぜひ本棚登録、えすこめのフォロー、よろしくお願いします。  これからもどんどん面白い小説を書いていきます。  以上!  エース皇命でした!
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