3.春日悠一は走る。

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 「家業」っていうモノがある。    この小さく古い街には、まだそんなモノが存在していた。  空襲とかで焼かれるのを、ギリギリ免れた。そんなような街には。  前の戦争では、「本土決戦の最終地」とかだったって。  陸軍の飛行場があってさ、重要施設や軍需工場も疎開してきてた。  だからこの辺り一帯は、その後も、意外にいろんなところから人がやってきては棲みついていて。  そんな流動的な一面もあったりはするんだけど。でもたぶん。  本質は変わってない。  まだなにも――
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