月夜に出逢った不思議な女

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まったく、道を歩くだけで喧嘩をふっかけてくる奴ばかりだな。 中には分厚い化粧を塗りたくり、鼻が曲がるほどのキツイ香水をする女どもが声をかけてくるしな。 まあ、だいたいは予想はつくけれど。 俺の両親は医者をしている。 兄貴や姉貴もいずれは医療へ行くみたいだ。 だから、それ目当てで声をかけるらしい。 あとは俺の外見。 お姉様からしたら好みのタイプだとか。 知るか、そんなの。 まあ俺も、そういうのには興味がある。 だけど対象は誰でもいいわけではない。 こちらだって選ぶ権利はあるんだよ。 それに家には帰りたくない。 息苦しくなる空気の中と疎外感。 あの中にいたら自分の存在が浮いてしまう。
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