似ているだけ

ボイスレコーダーの書き起こし

　※この先の内容は竹井の知り合いである【私】がボイスレコーダーから書き起こしたものです。

『窓から出よう。誰もいないよな。（じゃりじゃり音）こんばんは。あ、こんばんは。観光ですか？　はい。明日東京に帰るのでせっかくだから夜の町も楽しもうと思って。夜の町を？　物好きですねぇ。東京は夜でも明るいのでこんなに暗いのは新鮮なんですよ。そんなもんですかね。まあ治安は良いので大丈夫だと思いますけど気をつけてくださいよ。はい。ありがとうございます。（しばらく無言が続く）あれ？　なんだこけしか。どうしてこんなところに？　や、みちおさんが外に出てたこけし拾ったことあるって言ってたな。（土を踏みしめる音）よし、周りに誰もいないな。玄関は閉まってる、と。（ガラガラガラ）こんばんはー。返事なし。良かった。この辺歩きにくいな。（何かを壊す音）うわっ！　マジで人形しかない。ありすぎだろ。よく集めたものだな。（小さな物音）ん？　誰かいるのか？　二階か？　おーい！　誰かいるのかー！　おーい！　うーん？　何も返ってこないな。返ってきたら怖いけど。上に行こうかな。（木の軋む音や何かを壊す音が続く）壊れそうだ。おーい。誰もいない？　いない。（何かを壊す音）あっ！　またやっちゃった。あの赤い人形いないな。（しばらく無言が続く）帰るか。おっとやばっ（カシャンという音。ボイスレコーダーを落とした？）あーあーあー録音できてるかこれ。あーでもここからは録音しなくてもいいか。もう帰るだけだし（遠くから足を擦りながら歩く音？　が聞こえる）』

　ボイスレコーダーに残された音声はここまでです。