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【録音記録3】
翌朝。朝食を食べ終わりゆっくりしているところを、近所に住む佐藤さん(仮名)という男性が世間話をしにやってきた。どうやらこの佐藤さん、今朝山下さんから僕が怪談特集の取材をしていると聞いて面白半分で来たらしい。これは良い機会だ。佐藤さんに呪いの家の日本人形について聞いてみた。
※ ※ ※
『呪いの家の日本人形? そんなのは知らないねぇ。あの家にはこけししかないんじゃないか? あー……や、中に入ったことはないからわかんないけどよ』
『この写真を見てもらえますか? この写真に人形が写っていたんです』
『どれどれ……うん? 何も写ってないじゃないか』
『え? そんなはずは……ほら、窓と玄関にいますよ。この四枚目の真っ赤な人形なんかは目立つじゃないですか。しかも浮いてます』
『んー……あんた……東京から来たんだって? 疲れているんじゃないか? せっかくここまで来たんだからもっとゆっくりしてきな。それと、俺以外に見せたらからかってんのかー! って怒られるかもしんないぞ』
『でも……』
『呪いの家に日本人形があるなんて、この町に五十年以上住んでいるが一回も聞いたことがない。どう考えてもあんたの見間違いだよ。鏡で顔見てみな。目の下にくまができてるぞ。睡眠不足が続くと酔っ払ってる状態と変わらないってテレビで言ってたぞ。若いからって無茶してねぇでしっかり休みな』
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