月夜に

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 十五分程して彼からメッセージが届いた。  "さっきは驚いた。ありがとう。好きだよ"  『話しかけないでくれて  浮気相手として理解があってだよ』  ―――そういうことでしょう?  やっぱりずるい。  私は都合のいい女。  頼りない三日月が、同情するように私を見つめた。  わかってるよ。  もう、限界だって…  母を送り届けて、誰もいない孤独な自室で私はスマホを開いた。  『もう、やめます。もう終わり。  月曜から、ただの部下にもどります。  さようなら』  直ぐにそのメッセージに既読がついた。だが、一日経ってもその返事はこなかった。  結局、そういうこと。    私はベランダの窓から、昨日より少しだけ太った月を眺めて、缶酎ハイを(あお)った。    しちゃいけない恋だった。  始まっちゃダメだった。  わかっていたのに。  わかっていたはずなのに。  好きだった、どうしようもなく。  だからって、奪いたかったわけじゃない。  ただ、そばにいて欲しかっただけ。    わかってる…  わかってる。
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