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彼は乱れた顔を一旦、先ほどと同じ顔に戻す。
「こ、これは…どうすればいいんだろう。」
もし、ここで警察に届けるとしよう。
そうするとどうだろう。ここからはまだ何かあるかもしれない。
警察の人たちはそう思うに違いない。
そうしたら、必ずと言っていいほどの確率で此処の落とし穴制作所はすぐに立ち入り禁止の[keep out]のテープで埋め尽くされることだろう。
「こういうのは、違う場所から見つかったというべきか?」
だが、そんなことをしたところで、掘り返して何も見つからずに俺に情報を求めてくるだろう。
俺の嫌いなことは3つ。
喋ること。
人と話すこと。
そして何よりも、自分に利益の無いことで体を動かすこと。
やはり、警察にこれを渡すとろくな事にならない。
犯罪ではあるが、彼はこの埋蔵金の存在を秘密にすることにした。
「とは言ったものの、さて、どうやって存在を隠させようか」
此処が必ずと言っていいほど安全なわけでもない。ここら辺の穴はたまに落ちる人がいるのだ。
彼は落とし穴を作った後そのままにしておくので、稀にこの辺りを全く何も知らないまま通る人がハマる事があるのだ。
その時、もしハマった人がここら辺を調べたりでもしたら適当に埋めた宝はすぐに見つかってしまうだろう。
その宝を誰にも言わずにいれば良いが、そんな上手いことはないだろう。
「どうしたらいいものか…」
いや、待てよ?
そもそも俺はこの埋蔵金に興味などないのだ。いっそ他の場所に埋めちまうのが良いだろう。
その方がいい。
どうせなら落とし穴を掘ろう。穴に落ちたのであれば人は必ず不幸と思うだろう。だがしかし!もし落ちた穴に金銀財宝があったら人はどう思うだろうか。もちろん!
「これはラッキー!だとな!
よし!決めた!この作戦で行こう!まず他の所に穴を掘り、金を運んで埋める。
穴の掘る場所はいささか有名な場所にするとしよう。
夜に埋めればばれることはなくこれからも穴を掘り続けられる。
よし!完璧だ!」
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