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私は読んだ訳ではないのでそれについて語るとなると憶測の域を超えないが、人生に迷ったら知覧に行けというタイトルの著書がある。知覧とは神風特攻隊員たちの写真や手紙を展示した資料館がある地名だ。
要するに愛する人の為に家族の為にお国の為に花と散った神風特攻隊員のように人生に迷ったら自分の為ではなく他の為に生きることに目覚めよというメッセージを著者は読者に伝えたいようなのだ。で、察するに著者は神風特攻隊員を崇めているに違いないが、特攻隊員たちが三角兵舎で書いた手紙の全ては軍の検閲に引っかからないように書かれた物ばかりで本音は書かれてないのだ。だから弱音を吐いたり戦争に反対したりするネガティブなことは一切書かれておらず軍が残された特攻隊員を鼓舞し士気を高めるべく、また志願者を増やし増員するべく特攻隊員を然も立派なものであるかのように見せ、偶像化、神格化する為に書かせた物ばかりなのだ。特攻隊員の写真にしたって検閲が入っているから笑顔だったり真剣な顔だったり物怖じしなさそうな勇ましく映ったものばかりなのだ。やらせもあっただろう。虚勢を張ったり虚飾したりする虚栄家もいただろう。それらも真に受けてなんてかっこいい人たちなんだ、なんて美しい死に様なんだと著者は特攻隊員を思い、軍神として英霊として著作したに違いないのだ。
私もガキの頃は神風特攻隊を何となくかっこいいものと思っていたが、馬鹿か、子供か、何が愛する人の為にだ、何が家族の為にだ、何がお国の為にだ、勝ち目が微塵もない愚かな戦争を続ける軍の犠牲になり、また人間ミサイルになる運命になった自分の為に死んで行ったんだろうが!但しミサイルと言っても感情があったに違いないが、恐らく最期に天皇陛下万歳と叫ぶのは少数派で死にたくない、助けてくれという思いを込めてお母さん!と叫んで死んで行った方が大半だったに違いないだろうが!而も戦果を挙げることもあった特攻作戦序盤の頃と違って中盤から終盤にかけての多くは間に合わせの経験の浅い未熟なパイロットだったし米海軍が特攻に対し万全を期すようになったから敵艦に辿り着くことなく海の藻屑と消えたんだろうが!全くの無駄死にじゃないか!犬死にじゃないか!それを美化して何になる。何の発見がある?戦争と云うはお国の為に死ぬことと見つけたりとでも悟るのか。差し詰め右翼の歴史修正主義者のネタになり美しい国ニッポンと勘違いしてお花畑状態の阿呆を生むだけだ。だから無知で幼稚な者を洗脳する悪書と言え、軍部と右翼が捏造した情報をエビデンスとして戦争を美化する書物は糞とも言えるが、そんな綺麗事満載の本がよく売れる。人々は黒歴史で塗りつぶされた真実とは向き合いたくなく美談で彩られたファンタジーに浸りたいのだ。しかし、それでは同じ轍を踏み、大政翼賛会を誕生させるような危うい事態を招くだろう。
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