0人が本棚に入れています
本棚に追加
未解決
帰り道、木村と定食屋でカレーを食べる。カウンター席に並んでお互いに無口だった。
定食屋をでると陽が落ち始めていた。丸いオレンジ色の塊がアイスが溶けるようにとろけている。
そして、木村が声を発する。
「なあ活留、年間の殺人事件って900ちょっとくらいだ。そのなかに今回も含まれるのか」
「認知されているのはだろ。行方不明者の中にもいるだろうし、実際にはもっと多いだろう。殺しても捕まってないやつもいるのが俺の中で不愉快だ」
「そうだな」
木村と別れてマンション前に着くと一階から誕生日を祝うメロディが聞こえた。家族の声を聞いて活留は立ち止まる。それから自室へ入る。真っ暗な部屋、ベッドだけの2LDK。家族の遺影だけが異彩だった。活留は手を合わせて目を閉じる。それから上着を脱ぎ捨て仕切りの足を踏み入れる。そこにはホワイトボードがあり中央に木村の写真が貼られていた。下にはシリアルキラーの文字。そこからいく筋もの線が伸び、遺影にあった写真、他にも複数の人物の写真がバツ印を刻まれていた。全て木村と何らかの縁があった者。
「よくもぬけぬけと。木村、てめえのボロは必ず見つける。父さん、母さん、美冬見ててくれ』
活留の瞳には暗い炎が宿っていた。
電車から見える景色。木村は活留のマンションを見て嗤っていた。
最初のコメントを投稿しよう!