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1-1 早瀬との出会い
俺の名前は久田悠人。大学一年生。今年春から、都内の大学に通っている。ただいま楽器店にてバイト中だ。バンドマン御用達の店であり、エレキギターを主に取り扱っている。俺もギターを弾く。高校一年生の時にバンドを組んで以来、この店の緑川オーナーには世話になっている。バンドコンテストの前には、2階にある練習スタジオを使わせてもらった。そのお礼に店内の掃除を手伝うようになり、この春から正式に雇ってもらった。バンドは解散したけれど、大学入学後、新しいバンドを組んだ。オーナーから楽譜を見せてもらったり、新しい機材を紹介してもらったりして、また世話になっている。
「悠人君。お知らせを更新しておいてよ」
「はーい。もう17時ですね」
「5月に入って、ますます日の暮れが遅くなった。余裕がある感じがする」
「冬は焦りますよねー」
お客さんの少ない時間を利用して、ホームページの更新や、掃除をやっている。18時前になると、仕事帰りの人が訪れる。楽譜を探しに来る人、ギターの修理持ち込み、新規購入等だ。この店は人気店だ。
「よし、出来た。さてと……、楽譜の補充をしなくちゃ」
幅広いジャンルの楽譜を取り揃えてある。ピアノやヴァイオリン、オカリナ、賛美歌もある。楽譜の補充をしている間、あるお客さんのことを思い出した。オーナーと知り合いのようだ。ヴァイオリンを弾く人で、楽譜を買いに来てくれている。この近くの企業に勤めているらしい。柔らかい物腰に爽やかな笑顔が印象的な、イケメン会社員といった雰囲気の人だ。
「先週まではそう見えたんだけどな」
この間、彼と話して印象が変わった。人は見た目では分からないものだ。 あんなに変な人だとは思わなかった。
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