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 少しのオシャレといえるかわからないほどの服を着る。休みだからと布団と恋人しすぎてしまった。とはいえ、スマートフォンでショートムービーを漁り、ネットからおいしいソースの作り方を探し、やはりいつもの自分が作り慣れている方法が一番手っ取り早く、アレンジもしやすいことに気が付く。さて買い物へ出かけるかと重たい腰を動かしたときに気まぐれで見た15:21の文字。さすがにそろそろ作りに出かけないと、彼女の帰宅に間に合わなくなってくる。  外は過ごしやすくなっていた。上着は要らなかったかもしれない。夜中に歩くとしても、今日は確実に彼女が隣にいる。彼女の横顔を想像しながらアスファルトを蹴って進む。今の時間は多分少しの休憩の時間を挟んでいるのだろう。休み時間なのにも関わらず、仕事のことで頭を回しているのだろうけれど。 「ハンバーグか…。ハンバーグに旗でもさしておこうか。」  彼女のことだから、旗を見た瞬間に引っこ抜いて、私この国の当主だから、とか言い始めて、振りかざすのだろう。大体想像は的を射る。からの、ご飯に抜き取った旗を刺しこんで、ニコニコしながら旗が倒れないように食べ始める。 「…可愛いな。」  勝手に想像しているのにも関わらず、彼女の笑顔が鮮明に見えてくる。良かった。好きになって、話すことが出来て、隣にいさせてくれること、想像させてくれることを許可してくれて。自分も隣に居ても変ではないような人間にならなければと、心の底から思い始める。  目の前は、地元の人がよく通うスーパー。この時間帯だと子供を連れた母親が忙しなく店内を回っていることが多い。母親は凄いな、そんな在り来りの感情を横目に店内を物色する。 「あいつの家、ビールしかないだろうな。」  自炊をほぼしないことを知ってしまってからは、定期的に家に行く時は食材を買い込んでおく。家に着いたら冷凍やら、タッパーやらに作った料理を溜め込んで、何時でも食べれるようにしてあげなければ、いつか餓死する。それくらいの生活水準の彼女。  肉やら野菜やら果物やら調味料やら、引っ越しして間もないですか? と聞かれる可能性が十二分にある量を買い込んだ。今日のお金は自分持ちでいいかと考える。 「笑える顔を見れるだけで、充分だ。」  スーパーを後にする。先程忙しなく歩いていた母親は子供とお菓子売り場にいた。いつか自分もこんな風に、三人でスーパーに来て、大人にとっては普通の場所、子供にとっては楽園で一緒に何かを物色したいな、なんて考えながら来た道とは別のルートを辿る。家に着いたら真っ先にキッチンの掃除から始めよう。そして片付いたら、急いで作り始めなければ間に合わない。彼女の帰宅時間に合わせて出来上がれば上出来だ。 「ハンバーグだけだと、物足りないか。 …帰りながら考えよう。 ちょっとだけ驚かせてやるか」  足のスピードが上がった。
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