ヤクザの奥様と半グレ

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 これって、TVとかでよく聞く“半グレ”と呼ばれるグループたちだよね。 いつか尾崎さんが説明してくれたっけ。 『“半グレがなかなかに厄介なのよねぇ。私たちのシノギを平然と踏み荒らすし、頭のキレるグループもいれば出来の悪いグループもあって。 グループ内でのルールが明確になっていないから、いくらそこのグループにお仕置きしても次から次へと出てくるのよ。 あ、半グレっていうのはアタシたちみたいに暴力団組織に属していない犯罪グループのことを言うのヨ。 詳しいことはまた何かの機会にね〜”』    そっか。親子という上下関係の位置付けた暴力団組織とは違って、“半グレ(ブラッド・フェアリー)”は咎める人がいないから、何言われようと関係ないんだ。 だから他所の縄張りでも平然としていられる。 でも、報復が怖くないの?  そばに立っていた成田が私の目の前へ出た。  微かに肩が震えている。  目の前にいた赤髪の男は成田を下から上へと舐めるように見上げていくと、可愛らしく笑った。 「え?なに、冗談?こんなオタク臭いモヤシが出てきたんだけど。もしかしておねえさんのナイト気取り?」  あ、もしかしておねえさんの姉弟か何か?と話しかけられ、成田は震えながらも拳を構えた。 「成田さん!相手は一般人で」 「分かってます。ちょっと威嚇する程度に退かすだけです」  なかなか退かない男たちに成田は、慣れないことをしようと勇気を振り絞って目の前に出て来てくれたのだろう。  ひっそりと呟いた成田は、赤髪の男が隙を見せた瞬間に拳を突き出していた。  男の顔に向かって繰り出された拳に思わず声が出そうになった。  鼻の先、5センチほど隙間を空けて止めた拳を怯えることもなく、瞬きすらせずに男は成田を見つめる。  そばにいた鬼剃り男は避けようとしたのか、一歩後退していたというのに、赤髪の男はにっこりと笑った。 「なんだ、ただのモヤシじゃないんだ。その構えは柔道だね」  臆することなく、突いた拳をサッと手で軽くあしらい、成田の長い前髪を指先で払った。  いきなり前髪を触られ、驚いて身を引いた成田は手もサッと戻した。  赤髪の男は目元を細め、白い歯を唇から覗かせる。 「。有段者でしょ?」  成田は驚いたように自分の右耳に手を当てた。 「その耳、かなり変形してるから有段者だと思ったんだ。 なら、手出しやすいじゃん?」 「・・・え?」  ヒュッと空を切るような音がそばで聞こえたかと思うと、ガフッ!!と成田が空を見上げていた。
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