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彼の低く濡れた声が耳朶に響いて、早鐘を打つ。
さっきまで意味不明で困惑していたのに、呼吸が浅くなっていくのを感じている。
銃口を彼に向けているのに、渚は私を愛でる眼差しを注ぎ、銃を支える手を愛撫した。
「んっ」
腕を這うこそばゆいキスと艶かしく指先を舐められ、色香を漂わせた彼の熱い視線にグラつく。
腕や手にキスされただけで、身体に甘い痺れが駆け抜けていくのは、これでもかと大切に身体を愛されてきたからだろうか。
産婦人科への出入りが多くなったから、体中につけられたキスマークや噛み跡をつけられなくなった。
ただ、健診あることを忘れたまま健診に行った時、それを見た医者が「愛が激しい旦那さんですね」とドン引きされたのを覚えている。
「妊娠中は激しい性交は控えてくださいね」と言われたことがあったが、妊娠が分かってから渚は私の身体を労わるように愛撫するだけで、性交はしていなかった。
そういえば渚も一緒だったから覚えてる。
あの時、医者に妊婦さんを大切にねと言われて「大切にマーキングしてるだけですよ」とケロッと返していた。
『可愛い僕の奥さんに手を出す輩がいたら只じゃおかないっていう証ね』
担当医がゾッ青冷めていくのを目の前で見た時は冷や冷やした。
担当医が若い男性だったこともあり、警戒していたのかもしれないと後日思った。
きっと、ストレスも溜まっていることだろう。
なのだが、妊娠してから初めての夫婦のスキンシップが、デンジャラスすぎるッッ!!!
「・・・脱がすね」
首筋や胸元を愛撫されている間に服の中へ手を滑らせ、腰骨まで手が入ってきた。
慣れた手つきでスルリとショーツを脱がされてしまうと、太腿の間に彼が割って入って脚を押し広げられる。
普段なら愛撫をこれでもかとするのに、秘裂に彼の滾る熱杭を擦り付けられた。
両手はしっかり彼の左胸に押し当てた銃に当て、淫欲に煽られながらも冷静に彼の顔を見つめ続けた。
「声は出さないようにね」
押し開いた脚に口付けられながら言われると、皮膚にその振動が伝ってこそばゆい。
渚が私を信じて銃を託すように、私も彼を信じていなければならないのだと経験から納得している。
それでも、この異常な空間には身体が震えていた。
怯えているのか、それとも興奮して震えているのかもわからない。
上がる自分の息が浅くなっていることに気がつくことなく、心臓の音が鼓膜にうるさく響いて回る。
お腹が少し張ってきているのがわかった。
渚にこれから掻き回されてめちゃくちゃにされるのだと思うと、中が疼いてきてしまう。
妊娠したら性欲が半減するとプレママ雑誌に書いてあったが、反対に性欲アップする人もいるとかあったが、どうやら私は後者だったのかもしれない。
受け入れたいと思ってしまっている。
赤ちゃんがいるのに、母親としてどうなのかしらと罪悪感に塗れたが、お医者さまに常識の範囲内ならと言われているし。
いや、この銃口を向けたスキンシップは決して、常識の範囲外だろうけど。
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