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「“薬物横奪事件”かぁ・・・」
渚たちが中国へ行ってから4日が経った。
2日で帰国すると言っていたが、どうやら長引いているようだ。
『世界各地で横奪が増え、そして詐欺、強盗も急増しているようです。
薬物依存者が相次いで病院に運び込まれ、殺人も頻発するようになりました。
一体、世界各地で何が起きているのでしょうか?
依存症専門家の平沢 愛智先生と元警察庁長官 佐久間 利彦さんにお越し頂きました』
70インチの大画面テレビモニターに映し出された専門家と元警察長が映し出され、思わず緊張した。
険しく凛々しい眉毛と小鼻から顎まで伸びた深いほうれい線。
額と眉間にしっかり刻み込まれた皺は、数々の難事件を解決してきたのだと思える精悍な面立ちだ。
『特に被害が深刻な医療現場では、重症者への投与が出来ず逼迫しているようです。東南アジア中心に集団での強盗により、更に地域の治安情勢は芳しくないようで』
『なぜそんな事態になっているのでしょうか?』
『少数民族武勢力や軍との闘いによって経済が破綻した国では薬物ビジネスが横行し、それによって国が支えられていることにより違法薬物が絶え間なく生産されます。
そこに介入するのがマフィアや闇組織です。
安価に提供することで国内に十分に行き渡るのですが、どうやらこのマフィアや闇組織で均衡が崩れてきているようですね』
『闇組織とは、具体的にどんな人たちなのですか?なぜ均衡が崩れているのでしょう?』
『人身・臓器売買、闇カジノ、サイバーテロ、国際詐欺など国際法で取締ることの出来る組織ですね。
全ての組織ではないようですが、大麻や覚醒剤、生産地を解体して回っています』
『なぜそんなことを?闇組織やマフィアたちにとって違法薬物ビジネスは無くてはならないものなのではないんでしょうか?東南アジア圏は生産地ですし』
『それはまだ調査中ですが、少なくとも大規模なグループ犯行なのは確かです。
彼らにとって違法薬物ビジネスは厄介になった可能性が高いかと。
1番利益になる違法薬物ビジネスを放棄する理由は分かりません。ただ、暗躍しているのは確かです。
合法経済を圧迫していた違法薬物ビジネスが緩和傾向によって、少しずつ違法薬物から脱却出来る!と国として好機に捉えているようで、経済の流れに動きが見えているようです。
その動きをいち早く捉えたのが野木ホテル&リゾートグループで、東南アジア圏に高級ホテルとリゾート開発に力を入れ、大規模雇用を』
専門家たちが東南アジア圏に動きがある企業らの名前を挙げていく中、開いた口が塞がらなかった。
その大規模グループが日本の関東を牛耳る青柳組だということをみんな知らないのは確かだが、まさか生産地を襲って、そのあと国の経済回復を促進させるために野木グループが動き始めていたとは。
関東圏だけに仲間がいるわけじゃなくて、国際的に仲間が沢山いるんだ。
国外へ頻繁に長期滞在しなきゃいけない理由も良く分かった気がする。
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