ヤクザの奥様と半グレ

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「姐さんが律儀にニュース観てるからだよ。 新聞とかネットニュース観るじゃだめなの? メディアで流してる情報よりか、僕らの情報網の方が凄いと思うよ」  休校日の拓と響は欠伸をして、コタツの中でヌクヌクと座っている。  普段上げている前髪を下ろしているからか、普段よりも幼く見える拓は、きゅるんとした瞳で私を見つめた。 「渚さんの過保護振りには驚くけど、姐さんがだね」 「ネーサンがきっと思ってるよりも青柳組の情報網は凄いぜ?」 「たとえば?」  2人は顔を見合わせて、口角を引いてキラキラと瞳を輝かせた。 「「海外の機密情報も握ってるところ」」  息ぴったりな2人が珍しくて、内容が消え掛かったが、改めて2人の言葉のスケールのデカさに首を傾げた。 海外の機密情報とは??? 「結構細かい情報も入って来るんだってよ? ターゲットの足の小指の爪の形から今まで付き合ってきた異性交友までもね」  ケロッとした顔で拓が言うが、どうやらその情報まで知らなかったらしい響は苦い顔をした。 「足の小指の爪の形まで知られるのは恥ずい」 「そこに恥ずかしさ覚えるんだ、響ってやっぱ変なヤツだね。足の爪の小指まで分かるってことは、僕たちの“息子”の大きさも把握済みってことだよ?わかってるかな、阿呆な響くん?」  唐突な下ネタに頬が熱くなったが、響くんも顔を紅くして、つり目をキッと鋭くさせた。 「ち、ちぃさくねぇしっっ!!!!」 「誰も響の小ささを指摘してないよ」 「とにかく、離れた情報すら簡単に手に入れてしまえるってことなんだね? それはどうやって入手するものなの?」  小言が大きな喧嘩にならないよう間に割って入ると、響は行き場を無くした言葉を飲み込むしかなくなったようで、頬をぷくぅっと膨らませて食いしばっている。 「さぁ。 専門業者がいるから、やり方は様々あるって聞くけど。中には、子供が仕事してるとかいう噂もあるみたい。 敵に回したくない業者であることは間違いないんじゃない」 「子供・・・」 「裏社会じゃ珍しいことじゃないと思う。 手っ取り早くお金を稼ぐ方法だし。僕はスリが手っ取り早いと思ったから、グループに所属とかしなかったからわかんないけど」  さも当然のように、当たり前のように言った拓の言葉に胸の奥がきゅうっと締め付ける。 他人事のように話す彼の言葉は、今もどこか投げやり感がある。 大人がこうしてしまったというのに、今もこの子たちの心を癒せずにいるのだ。
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