ヤクザの奥様と半グレ

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「ようそこ、エデングランドホテルへ。 受付へご案内致します。お荷物お預かり致します」  ドアマンは私と目が合うと、にこりと微笑んだ。 「お疲れ様です、乙葉さん。 本日はとのことでしたよね。 プライベートルームへご案内致します」 会議??  全く身に覚えがない。 たまにホテルの広報部さんとホテルで会議するが、妊娠したこともあって今はほとんどリモート会議だ。 「、エスコート致します」  左頬に鬼が刻まれた赤髪の男を見て、思わず目を瞠る。 「あなた、どこかでみたことが」  赤髪の男は首を傾げ、「君と私は初めて対面しますが」と怪訝な顔をされる。 でも、どこかで。  覆面を取った男たちを眺め、さっきまで感じていなかった別の緊張感に包まれた。 変なの。 覆面している時より、顔が見えた今の方が緊張してるなんて。  震えそうになる体を頑なに落ち着かせようと必死になっていることに気がつかないまま、慣れたプライベートルームに脚を運んだ。 最初になんて言うべきかと頭を必死に働かせていた矢先、部屋に入った途端に男らは目の前に並んで首を垂れた。 それも4人揃って。 「申し訳ありませんでした。 これには深い事情があって貴女を誘拐したをしなければならなかったんです」 「はい?」 思わず出た言葉はあまりにも驚きすぎて声が裏返ってしまった。  赤髪の男は私に頭を垂れ、先程とは態度を改めたかのように言う。 「鬼神龍ニ会代表、山内 東華(とうか))と申します」 鬼神龍二会代表? 「鬼神龍組の派閥って事ですか?」 「見かけ上は」 ということは、仲違いしてるってことなのかな。 「お察しの通り、我々は鬼神龍組とはあまり。 こうして貴女を誘拐したのも、鬼神龍組と決別したいからなんです。 申し訳ないのですが、それを手伝ってもらいます」 なんだかよくわからないけど、派閥間争いに巻き込まれたということなのだろうか? 「なぜ私が必要なのか聞いても大丈夫でしょうか」 手荒な真似はこれ以上はしませんからと、他3人からぺこぺこと頭を下げられた。 赤髪の男の瞳はペリドットのように美しく見えた。 渚の瞳が綺麗だと見惚れたことは何度もあったが、他にも綺麗な瞳の男性がいることに驚いてしまった。 というより、この人も顔が整っていて綺麗なのだ。
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