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鬼神龍組ってやっぱり解体するの難しいんだなぁ。
結局あの2人が首謀者で、末端までは手が回らないんだ。
それより、初めて聞く名前だ。
穂波 克久って、どんな人なんだろう。
考えていると膝掛けをかけてくれた。
「冷えますから」
山内さん、私を拉致するのではなくもっと他の方法があったのではないだろうか。
「今からでも和解をしたらどうでしょうか」
いくら自分の旦那さんが優しいとはいえ、他人にはどう出るかわからない。
「和解なんてしません。
相手に恩を売るマネはしたくありませんし、第一にそんな申し出を青柳組が引き受ける訳がないでしょうね。
だから貴女を誘拐したんです。
こっちは最初から死ぬ気で誘拐したんですから」
彼らの真剣な顔つきに胸の奥が騒つく。
渚に何をされても文句は無いってこと?
「じゃあ、理由は言わないつもりなんですか?」
「言いません。ですから、乙葉さんもこの事については何も言わないで下さい。我々は貴女に危害を加える気は無いことだけは了承頂きたくて話しただけですから」
あくまでも任務を遂行させたい人たちなのだと理解したけど、心配になった。
例え敵であろうとも、健気に私には手を出さないと言ってくれた彼らがどうなるのか不安になった。
根っから悪い人たちではないのに。
「兄貴、外に車が6台」
「来たか」
「乙葉さん、申し訳ないのですが一芝居打って頂きます」
一芝居。
どう言うことだろうと考えていると、外で見張りをしていた1人がドアを一回叩いたあと、外が賑やかになった。
刹那、ドアが開け放たれる。
見知らぬ黒スーツを着た男たちが入って来たかと思うと、山内さんは私の首に腕をかけ、ナイフを私の身体に当てがった。
「姐さん!!」
黒スーツの中に見知った顔がいて、思わず声が漏れる。
「枻くん?!」
「姐さん、大丈夫?」
こっちに駆け寄って来ようとした枻くんが脚を止めたのは、山内さんがナイフをちらつかせたためだろう。
「テメェらの姐さんと引き換えにブツの在処を教えて貰おうじゃねぇか」
さっきまで丁寧な口調でいた山内さんが別人のようになったので、目を丸くしてしまう。
「その刺青、また鬼神龍組かよ。しつこい奴らだな。女に手を出そうなんて外道な奴らだ」
「鬼神龍組を知ってるなら分かるだろ。女は道具なんだ。使えるうちは使うんだよ」
「クソが」
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