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郷愁。回帰。円環。刹那と永遠。魂の流転と源泉。
背骨から脳へ。快感と情熱が暴れ狂いながら駆け上る。
果てしない時を、巡り巡る魂。その最奥に、消えることのない証を刻みつける。
戻ってこい、何度でも。何度生まれ変わろうと、お前以外を愛したりしない。
瞼の裏に光が弾ける。収斂する。狂気と愉悦の果てに。
動きを止めた耳の奥に、ただ生の鼓動。
「…………陽炎」
ぐったりと寝台に沈みこみ、久遠がうわ言のように名を呼んだ。
「……大丈夫か」
ゆっくりと瞼が開く。奇跡の色が自分を見つめた。
中から出ていこうとすると、引き止めるように首にしがみつく。
「離れないで、このまま」
懇願する声が、鼓膜を甘く溶かす。
「明日もその先も、ずっとそばにいると誓って」
いつか、聞いたことのある言葉だった。いまその声音に、昏い予感は潜まない。
明るく幸福な明日が、目の前に開けていくのが見える。
「誓うよ」
唇に唇を重ね、ただひとつの愛の前に跪き。
「生きるときも死ぬときも、永久にお前と一緒だ」
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