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「お前どうすんだ。明日。あの売り場全部空っぽだぞ。毎日あそこでいくら売り上げてると思ってんだよ」  日下部が怒鳴った。作業場を通る他の社員やパートが、こちらを見ているのが分かる。 「もう発注間に合わねえよ。なんでちゃんと確認しなかったんだよ」 「すいません。うっかりで」 「うっかりで済むかよ。お前が売り上げ補填すんのか? あんないい場所で売ってんのに、チャンスロスしろってか?」  カットサラダの発注は、本社からセンターを通して行う。発注締め切りは前々日の午前十一時。明日の発注数量がゼロになっていることに気付いたのは今日の朝十時。もう間に合わないことは目に見えていた。 「どうすんだよ。どうにかしろよ。意地でも」  日下部はそれだけ言い残し、作業場を出て行った。喫煙所に行ったのだろう。開店準備は終わっている。後は売り場の品出しだけだ。  三日前の夕方、中野が発注表に数字を書き込み、それを確認したのは流生だ。ところが、発注端末に打ち込み、パソコンに取り込むまでは確認していなかった。後から発注数集計の画面を確認し、きちんと発注が流れていることも確認していなかった。結果的に、高坂店のカットサラダの発注数量はゼロになってしまった、というわけだ。  中野は今日公休で、事実を確認することは出来ない。仮に出勤していたとしても、中野に確認して売り上げが戻るものでもない。よりによって気温が上がり、サラダの売り上げが上がる今になってこんな凡ミスをするなんて。悔しい気持ちと悲しい気持ちが流生の心を揺らす。
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