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 ひとまず、戸村課長に電話をかけた。 「戸村です」 「あ、おはようございます。東雲です」 「おー。東雲くん。久しぶりだね」 「ちょっと自分やらかしちゃいまして、ご相談に乗って頂きたいんですけど」 「お。珍しい。なにやっちゃったのー?」  戸村は明るい口調を崩すことなく、むしろ少し茶化すように聞いた。 「サラダの発注飛ばしちゃってたみたいで、明日うちサラダ入ってこないんすよ」 「え? マジ? 一個も?」 「はい。一個もです」 「あちゃー。それはまずいねえ」 「本当にすいません。確認漏れちゃってて」  電話の向こうには見えないと分かっていながら、頭を下げる。 「午前中までならどうにかなったかもしれないけど、センターはもう無理だね。余分に取ってる店がないか聞いてみて、貰うしかないなあ」 「そうっすよねえ」  流生は溜息を吐いた。今回発注を流し忘れたのは中野だが、流生も同じミスをしたことがある。その時フォローしてくれたのは誠二だった。近隣店舗に電話をし、通常の七割の量をかき集め、市場に電話をして同じようなアイテムの取り扱いがないか問い合わせ、どうにか売り場を埋めることが出来たのだ。 「市場で、っていうのは厳しいですかね?」 「うん。ちょっと聞いてみるよ。もしかしたら奇跡的に持ってるかもしれないから。東雲くんは他の店、聞いてみて」 「はい。ありがとうございます」  電話をしている間に、日下部は戻って来た。電話をする流生の後ろを通り、冷蔵庫から商品を出し、台車に載せて何も言わずに作業場を出て行く。
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