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「夜中に、どこに行くわけ?」
「関係ないだろ」
都和ははあー、と大きな溜息を吐いた。
「あんたさあ、お母さんがどんだけ心配してるか分かってる? 仕事にも行かないで毎日遊びまわって」
「遊びまわってるわけじゃないよ」
「じゃあ、どこに行ってんのよ」
都和はふんぞり返って足を組んだ。いつも通り、尊大な態度だ。
「関係ないだろ。俺だって忙しいんだよ」
「藍ちゃんに関係してんの?」
都和は藍に会ったことがある。結婚の挨拶と称した食事会に同席し、藍とは早くから打ち解けて、一緒に笑いあっていた。
「まあ」
「お墓探してるとか?」
「違うけど」
「じゃあなに?」
「藍の部屋、片付けないといけないし」
「部屋? そんなの、あんたがやるの?」
都和は言ってから「ああ、そういえば」と思い出したように付け足した。
「藍ちゃん実家とうまくいってなかったんだっけ。ずっと顔も合わせてなかったんでしょ」
「姉貴、なんでそれ知ってんだよ」
「藍ちゃんから聞いたから。私、実家から嫌われてて、って」
「その時言ってたのって、それだけか?」
「なに? 必死な声出して」
「実家のこととか、他に言ってなかったか?」
もしかしたら、都和は誠二の知らない藍の情報を知っているかもしれない。食事の時もよく喋っていたし、誠二が目を離した隙に何かを聞いていてもおかしくはない。
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